8日目「歴史ある遍路道を台無しにする高速道路」

歩数 20285歩
距離 14,6km

本日のお遍路ードは、久礼から四万十町影野までに決めていた。通常、歩き遍路さんは、久礼からいっきに四万十町の37番札所岩本寺までの22kmあまりの行程を歩くのが普通だが、1日20km以内と決めている「急がない歩き遍路旅」の黒ちゃんにとって、岩本寺は少し遠すぎる。昨晩立ち寄ったスナック「論吐奈唖(ロンドナア)」のマスターの計らいで、手前の影野の知り合いの家に一晩泊めてもらうことになっている。

今日のルートは歩き遍路の難所のひとつ、久礼坂越えである。久礼の街から四万十町方面に向かう風情ある遍路古道があるというので、それをたどることにした。「添え蚯蚓(そえみみず)」というのがその名前である。一部に「ミミズ」という奇妙な名詞が入っている遍路道っていったいどんな道だろう。この道の他に「本蚯蚓」というルートもあるというではないか。好奇心がムクムクと湧き上がる。
パンフレットを調べるとくねくね道の様子をミミズに例えたのがそもそも語源らしいが、途中の山道にミミズがあふれている図が頭に浮かんできて楽しい。

ところが、添え蚯蚓の登り口から15分ほど気持ちの良い山道を進んだところで突然、高速道路に進路を塞がれたのである。じつは塞がれたのではなく、迂回を強いられたのだが、その迂回路が噴飯ものなのである。
コツコツ歩いてせっかく稼いだ高度を放棄せよとでもいうように、いったん下り階段をおり、高速道路の下をくぐってから、今度は天空まで達するかと思われるくらいの急階段をえんえん登ることを強いられる。念のいったことに、途中に休憩所まで作ってある。気の遠くなるような迂回路の急階段を息も絶え絶えに登りながら黒ちゃんは「なんかおかしい」と思った。

1200年かけて営々と築いてきた遍路古道をバッサリと切断して、歩き遍路さんにいらぬ苦行を強いる高速道路っていったい何なのだと。「作るな」とは言わない。しかし「作り方」に配慮がなさすぎる。高速道路を作る人々の心の中に1200年かけて築かれたお遍路文化や遍路古道、歩き遍路さんたちに対するリスペクトが少しでもあったらこんな設計図は書かなかったはずである。高速道路を跨ぐ歩行者専用道を一本渡せば済んだはずであろう。せっかくの歴史ある遍路古道の好印象を台無しにする暴挙、こんなことやっておいて、世界遺産登録なんてできるわけない。
道路を作る関係者の頭の中に「歩く人」の気持ちがわかるアプリをインストールしてくれる人、いませんかね。